証券会社の営業マンから株や投資信託を薦められ、儲かると思って買ったものの、多額の運用損失が発生してしまうこともあります。
投資は誰に薦められても、基本的には自己責任にはなってしまうのですが、どうしても「そんな説明、聞いていない!」などのように、納得がいかないケースもあるでしょう。
そういう投資のトラブルが発生した場合、どうするべきでしょうか?どこかに相談できるものでしょうか??
僕は金融業界で長く働いており、証券会社の個人向けセールスや運用の分野にも詳しいです。
よく起こる投資のトラブルについて、どう対処したら良いかを解説します。
目次(好きな章に飛べます)
多額の損失に納得がいかないケース
「絶対儲かると言われたのに、大損した」
「高齢の母が、よく分からないのにリスクの高い株を買って、大損した」
「商品の説明、とくにリスクの説明が一切なかった」
基本的には、自分が買ったものは自己責任でしかないのですが、そうは言っても上記のように証券会社のせいで損をさせられ怒りが収まらないケースもあるでしょう。
そんなときに相談すべきなのは、
通称、フィンマック(FINMAC)と言います。

株や投資信託、FXなどの金融取引に関するトラブルについて、相談や苦情を受け付け、公平・中立な立場で解決を図ってくれる機関です。
公的な団体であり、金融庁や法務省から認定を受けていますので、金融のトラブルなら最も信頼していい機関です。
注意点
ちなみに、金融庁はこういったトラブルの相談窓口はありません。
金融庁は証券会社を監督する立場ではあります。よって一般的な苦情として話は聞いてくれますが、解決を望む場合はどちらにしろFINMACに電話するように言われます。
とは言え、怒りをぶちまけたいのであれば、一定の効果はあるかもしれません。
あっせん(斡旋)とは
FINMACがやってくれるあっせんとは、被害者と金融機関の話し合いで解決を目指すことができる方法です。
裁判の一歩手前、といった感じですね。
和解を目指しますので、金融機関にも多少の落ち度があった事実がないと、こちらの言い分を通すことが難しいこともあります。
単に「おまえのところでかった投資信託が損したから、金返せ!」では、駄々をこねているだけで、通用しません。
金融機関の落ち度があったことを冷静に訴えて証明することが必要です。
金融機関の落ち度とは
金融機関側も「これはうちも悪い点はあるな」と思わせるには、着目ポイントがあります。
着目ポイント
- 断定的な判断
- 説明不足
- 高齢者への販売
主にこの3つのどれかが当てはまるなら、金融機関にも落ち度があったという、僕たちの主張が一定の理解を得る可能性があります。
断定的な判断
断定的とは「絶対に」とか、「必ず」「100%」のようなフレーズです。
「この投資信託は絶対に儲かりますから」なんていう説明があったなら、これは断定的な判断の提供、ということで、金融商品取引法で禁止されていますので、金融機関に落ち度ありです。
ただ、最近は、この断定的判断がダメだというのは営業マンのなかでは当たり前に気をつけるポイントです。
「ぼくは絶対に儲かると思いますよ」のような言い方をしていることも多く、これだとややグレーゾーンですね。
とはいえ、自分が「絶対に儲かる」と強く言われたと認識していれば、そのようにFINMACに相談してみるといいでしょう。
説明不足
”説明が十分でない”
この事例が最も多いように思われます。商品のリスクやリターンなどの概要の説明不足ですね。
特にリターンばかりの説明に偏り、肝心のリスクについて説明が疎かになるケースは昔から絶えません。
「こんなにリスクが高いと聞いていなかった」とか、「早期償還があるなんてきいていない」などなど。
どこまで話を聞けば「十分に話を聞いた」というレベルに達するのかは曖昧なのですが、自分が「説明を受けた記憶はない」と思えば一度相談してみましょう。
ちなみに、やはりこの点でも証券会社はずいぶん用心深くなってきています。
営業マンと僕たちとの電話での会話は全て録音されています。
それに、営業マンがぼくたちにセールスをしたあとも、営業マンの上司がわざわざ「お礼」と称して電話をしてきて、改めてそこで商品の説明や「本当に買うかどうか」という意向の確認をしているケースが多いです。
これらの会話もすべて録音されています。
要するに、証券会社側も「説明した」ということを録音データに残しているんですね。
こういった決定的な証拠があると、説明を受けていないことを証明するのはハードルが高い可能性があります。
とはいっても、その録音のせつめいが曖昧なことや、説明が間違っているケースもありますので、一度相談してみる価値はありそうです。
それに、営業マンが自宅に訪問して説明したような場合には、録音データがないので、そういう場合には「説明を受けていない」という主張が通りやすいかもしれませんね。
高齢者
いまだによくあるのは、高齢者への金融商品の販売です。とくに70歳、80歳などのおばあさん。
この年代の高齢者は本当にお金がありますし、かつ金融商品の詳しいことを理解するのも難しいです。
それに、意外にお金に執着心が薄いので、「説明なんてどうでもいい」という感じになりがちです。
こうやって買った投資信託や株が、運悪く相場で大きく下がり大損。これに息子や娘が気づいてゲキギレするパターンです。
このような場合も、金融機関側が適当に説明しているケースがあったり、説明不足を指摘できる可能性もあるので、相談してもいいでしょう。
高齢者の場合は特別でして、電話の録音上では確かに説明を受けていても「これじゃあ本人は全然理解していないですよね」ということで、営業マンの説明不足を指摘できるケースもあります。
まとめ
いかがでしたか。
今回は、金融機関、とくに証券会社と取引をして大損したら、どうするべきか、について解説しました。
電話すべきはFINMACです。
話を聞いてくれますし、中立的な立場でトラブルの解決を手伝ってくれます。
終わり