店頭取引と委託取引の違いを理解していますか?
最近は証券会社を通じて外国株の売買をする高齢者も多いですが、手数料にかかわる大事なことなので、必ず意識すべきです。
ぶるぶると言います。金融業界で長く働いており、当局在籍経験もあります。証券業界も長く見ておりますので、その経験からお役立ち情報を発信中。
最近の証券業界では、「外国株がいいですよ」とおすすめしている営業マンが多いと思います。
営業マンに薦められて外国株を買っている方は、「店頭取引と委託取引」の違いを認識していますか?

目次(好きな章に飛べます)
1.店頭取引と委託取引の大きな違いとは?
外国株を証券会社で売買する際には、2つの取引タイプがあります。
2つの取引方法
- (海外)委託取引
- (国内)店頭取引
売買をする際には、証券会社の営業マンは、必ず「どちらにしますか?」と
聞くことになっています。
聞かれていませんか?
記憶にないですか?
聞かれていなければ、すぐにその証券会社との取引は見直しましょう。それは大問題です。
記憶にない場合も、もしかしたら曖昧に聞かれていて、あなたもなんだか分からないので、つい適当に「いつもと同じでいいですよ」なんて答えていませんか?
個人的な所感として、基本的にはほとんどの人が「適当に答えている」と考えています。

この二つは手数料が大きく違うので、必ずそれを認識した上で答えなければなりません。
1.1(海外)委託取引とは
外国株を購入する場合は、あなたの売買注文を証券会社がマーケットへ出します。
注文を証券会社に委託する、任せるので、委託取引。
デメリットは、約定するかどうか不確定であること。指値のみならず成り行きを選ぶこともできるのですが。
必ず思ったような株価で約定が出来るかどうかが分からないのです。
指値の場合は、約定するかどうかも不明だし、いつ約定するかも不明。
もしかしたら、ベストな売りのタイミングを逃してしまうかもしれませんし、成り行き注文の場合は思ってもみないような高値で買い約定になってしまうこともあるかもしれません。
その意味で、リスクを伴います。
1.2(国内)店頭取引とは
店頭取引の場合、マーケットではなく、証券会社と取引をすると考えてください。
証券会社が在庫として抱えている株をあなたが買ったり、または証券会社に対して売ったりする取引。
先ほどの委託取引が、あなたとマーケットの取引であった一方で、こちらの店頭取引は、あくまであなたと証券会社との取引。
メリットはあります。
例えば買いを希望している場合、すでに証券会社が手元に持っている株を購入できます。その場で値段も決まりますし、約定も必ず行われます。
逆の売りもそうです。その場ですぐに約定出来ますし、売り値もフィックス。
その意味でどうなるか分からないという不確定要素、リスクはありません。
2.店頭と委託取引は手数料が違う
先ほども触れましたが、店頭取引と委託取引では手数料が違うのです。
ズバリ、店頭取引の方が手数料が高いです。
手数料の差は証券会社によって違いますが、全ての会社で
店頭取引の手数料>委託取引の手数料
の構図です。
店頭取引は、値段もすぐに決まりますし、その場で約定出来ますので便利なのですが、値段は実は証券会社が決めています。
かつ、証券会社にマージンが入るように、手数料が上乗せされています。
委託取引は、あくまであなたとマーケットの取引なので、それを手伝う証券会社に入る手数料は少ないのです。
この違いを理解していますか?
もっとも重要なことは、
ほぼすべての証券会社の営業マンは、店頭取引にさせたがる
と言って間違いはありません。
理由は、そのほうが儲かるから。
3.気を付けるべきこと
まずは、担当の証券の営業マンがきちんと両社の違いをあなたに説明しているかチェックしてください。
この違いの説明は、「一度でも説明したらOK」というものではありません。一回の取引の都度、これを説明しなければならないとされています。

もし証券営業マンが説明している場合は、その場でご自身がしたい取引を鑑みて、必ず適切に選択してください。
自分の意志を必ず伝えましょう。
よくあるのは、「委託でお願いします」とあなたが言っても「今が一番値がよくてベストタイミングですから、店頭取引ですぐに約定したほうがいいです」と押してくるパターン。
証券会社の営業マンは、ほぼこのパターンで店頭取引に誘導します。
しかし、手数料が結構違うので気をつけましょう。
安易に店頭取引にしていると、高い手数料を持って行かれています。
もしご自身の売買で認識していなければ、必ず認識し、正しく理解しておくべきです。
4.店頭取引がいい場合もある
少し悪意のある書き方になってしまいましたが、店頭取引がいい場合もあります。
特に米国株などの取引の場合、マーケットへ注文を出す委託取引の場合、時差の関係もあって、なかなか希望した値段で約定できるか不確定ですよね。
営業マンは親身になって、売り時買い時を逃さないようなアドバイスで、店頭取引を薦めている可能性もあります。
大事なのは、自分が違いを正しく認識した上で、自分の意思で選ぶこと。
値段やタイミングなどが不確定なリスクを取れるなら委託取引にすればいいですし、「今が売り時だ!」と本当に思うなら手数料を払ってでも店頭取引にすべきでしょう。

5.本当に外国株を売買する必要があるのか
そもそも外国株の取引は必要かどうかも併せて考えましょう。
実は外国株を証券会社が薦めるようになったのは、ここ2〜3年ほどでしょうか。
理由は2つ。
ポイント
- 国内株の値動きが悪い
- 当局指導で手数料を稼げる商品が減ってきた
国内株が大きく上がったりしないのは、多くの方は肌感覚としてお持ちだと思います。
大きいのは2つ目の理由。
証券会社が手数料を稼げなくなってきたから。
従来から投資信託などを繰り返し売買させて手数料をかせぐような手法がありました。
こういうのを業界では回転売買と言います。
回転売買は、取引の都度証券会社に手数料が入るので、証券会社は非常に儲かるのです。
しかし近年は金融庁の指導で難しくなりました。
そこで、手数料が欲しい証券会社が目を付けたのが、外国株。
店頭取引で手数料を稼げる上、外国株を何度も売り買いさせるのは当局の目が行き届いていません。
かつ株なら、短期的な複数回の売り買いは、投資信託よりは自然な取引です。
なので、頻繁に売買を繰り返させ、手数料を稼ぐのに都合のいい取引なわけです。
こういう証券会社の事情があり、「外国株は上がりも強いし、落ちても底堅いので儲かりますからおすすめですよ」というセールスに繋がるのです。
最近は「資産ポートフォリオのバランスを」というフレーズも流行りです。
要するに、運用のバランスを整えましょうというもの。
日本株や日本の投資信託しか持っていない人に対して、海外モノも入れて、
「バランスを整えてリスク分散しましょう」
というロジックですね。
必ずしも海外への投資商品を組み込むことがバランスがいいというものではありませんし、「最もバランスのいいポートフォリオ」というものは世の中の誰も分かりません。
こういう変だけども、もっともらしいセールストークで言いなりにならないように注意が必要です。
6.まとめ
今回は、証券会社の営業マンとやり取りをしながら、外国株の売買をしている方に対する注意喚起をさせていただきました。
株取引の場合は必ず「店頭取引と委託取引のどちらがいいか」を、取引の都度、確認することになっています。
今では大手の証券会社は、確認はほぼしている状態だと思います。
が、ほとんどの営業マンは「店頭取引への誘導」しているはずです。

もちろん、店頭取引の方が委託取引よりもメリットがある面もあります。
が、手数料を払ってまでそのメリットを取りに行くのかということを、自分の意思で決める必要があります。
「全く儲からないけど、手数料だけ取られて、いつの間にか資産が大きく減っていた」というケースが後を絶たないのです。
そうなるのは証券会社のせいでもありますが、現状「お客さんにはしっかり事前に確認している」と言われれば、罪を問えません。
そもそも証券会社は、顧客との通話は全て録音されていますから。
要するに、「どっちがいいですか?」と確認している証拠があるのです。
なので、対応は、顧客側が賢くなるしかないのです。
自分の資産は、あくまで自分で守ることが大事です。
終わり