夢のマイホームを新築。結婚を機にマンションを購入。
家の購入は一生に一度の大きな買い物だと言われますが、まさにその通りで、やはり金額があまりに大きいですよね。
多くの方が住宅ローンの利用を検討されるでしょう。
とはいえ、世の中に住宅ローンは無数にありますし、どういった基準で選べばいいか難しいですよね。

住宅ローンを検討する際に考えるべきポイントは3つ。
住宅ローン選びのポイント
- 誰がローンを組むのか(借入名義は誰か)
- 金利をどう選ぶか(変動や固定)
- 諸費用はどのくらいかかるか
この3つを抑えれば、どの銀行を使って住宅ローンを契約すればいいかが見えてきます。
本記事では、上記のポイントの中でも「誰が組むのか(借入名義は誰か)」について焦点を当てて解説します。
<ご参考>
目次(好きな章に飛べます)
1.借入名義人を誰にするのかの違い
住宅ローンを契約する時にまず最初に考える必要があるのが、「借入名義人は誰か」です。
要するに「お金を借りるのは誰?」ということなのですが、多くの場合は一家で最も収入がある人になりますので、夫が借入人(借金を背負う人)になるケースが大半です。
しかし、夫だけではなく夫婦で合わせてローンを組むようなことも可能なんです。
最近は共働き夫婦も多いですし、この借り方をする人も増えてきました。
「夫だけで借りるもんでしょ?」とお思いかもしれませんが、夫婦で組むメリットも多いんです。
夫単独で組むパターン、それから夫婦で組むパータンが3つ。それぞれメリットデメリットがあります(詳細は後述)。
借り方を変えると何が変わってくるのかについて、まず解説します。
ポイントは4つです。
1.1借入可能額
夫だけで組むか、夫婦で組むかによって、住宅ローンを借りれる額が変わってきます。
銀行によって審査はまちまちですが、一般的には年収の5~8倍くらいの金額の住宅ローンが組めると言われます。
なお、年収とは普通、税引き前の金額を指します。「毎月口座に30万給料が入ってきているから、俺の年収は360万くらいか」というのは間違いでして、これは税金が引かれた後の金額であり年収ではありません。
源泉徴収票や確定申告の金額を見れば、ご自身の年収が分かります。
銀行はこの金額を見ます。非常に重要であり、場合によっては2~3年分ほどの資料を求められる可能性があります。
銀行が住宅ローンの審査をする際には、一にも二にも年収が最も大事な着目ポイントですが、600万円の人が6,000万円の住宅ローンを借りるのはなかなか無理があります。
一方で妻が500万円の年収があれば、借り方次第では合算で見てもらえるんです。
合算で1100万円。
これなら6,000万円の住宅ローンの承認は下りる可能性は高いです。
このように、夫単体か、妻合算かにすると、借りれる額が変わるんです。
1.2団信
団信とは団体信用生命保険の略。
正式な定義はwikipediaでお調べ頂ければいいですが、ざっくり言えば「死ぬと借りたローンがチャラになる」というもの。
団信をつけるかつけないかを契約時に選べることが多いですが、もし契約につけておけば、夫が死んだ場合、ローン金額がゼロになりますから、妻は「家は残るけど借金はゼロ」という状態になります。
夫単体でローンを組んで団信を夫につけておけば、夫が亡くなった場合この効果が発動。でも妻が亡くなっても、ローンには影響はなしです。
一方で夫婦でローンを組んだ場合は、(組み方にもよりますが)妻が亡くなったら、妻分のローン金額がゼロになり、夫の分は残る、という感じにもできます。
夫婦共働きであれば、両方団信に入ることも非常に有効なリスクヘッジです。
なお、銀行によっては団信加入は必須としている銀行もあります。
個人的には、団信はいいシステムだと思います。
例えば夫が亡くなったら収入は半減、大ダメージですよね。そんな緊急事態に、ローンがゼロになることの効果は絶大で、最も出費の多い固定費である居住費が一生かからなくなるメリットは大きいです。
団信は一種の生命保険です。
ローン金額の0.2%ほどを毎月払うような形でして(利率や払い方は銀行による)、掛け捨ての死亡保険と同じ効力ですね。
ということは、住宅ローンを組んでいる人は、団信を付けておけば、無理にたくさんの生命保険に入る必要はないと言えます。住宅ローンの契約の際して、自分の保険を見直すいいタイミングかもしれません。
ただし、普通の死亡保険との違いは、ローン返済が進めば進むほど僕たちが毎月支払う保険料は下がっていき(残高に対して0.2%ですので)死んだときにゼロになって得する金額(死亡保険金)は減っていく点です。
1.3住宅ローン控除
住宅ローン控除というものがありまして、住宅ローンを組むと受けられる税金還付です。
ざっくり表現すれば「住宅ローンの残高がある程度あれば、国が税金を返してくれる」というもの。
年末時点の住宅ローンの残高が大事なのですが、その残高の1%分のお金が戻ってきます。
「戻ってくる」というのは、「すでに支払った所得税が返してもらえる」ということ。
10年間という制約はあるものの、例えば3,000万円の住宅ローン残高が年末にあれば、その1%分である30万円がポンと戻ってくるんです。
注意点としては「戻ってくる」という言葉の通り、所得税をある程度支払っていないと、そもそも戻ってきません。ただ、多くの働いている人は30~40万くらいの所得税は払ってます。
年収400万の人は年間37万円、600万円の人は77万円、1,000万円の人は176万円の所得税を払っています。
仮に払った所得税がちょっと足りなくても、足りない分は住民税からも戻ってくるので、このあたりはあまり心配無用です。
ご自身の所得税を知りたい方はこちら(国税庁HP)
このお得な税制度ですが、夫だけでなく妻にも適用できればうれしいですよね。
ローンの借り方によっては、夫婦ダブルでお得だったりします。
実はこの制度、住宅ローン金額が4,000万円までという上限があるんです。
これが鍵です。
仮に5,000万円借りる場合は、上限4,000万円の1%である40万円しか戻ってきません。
でも夫婦で2,500万円ずつに分けて借りれば、25万円+25万円が戻ります。
逆に、3,000万円の住宅ローンだと、どう分けても1%は1%なので、夫だけで組んでも、夫婦で組んでも、どちらでも30万円しか戻りません。
この制度をうまく利用できる人は、借入額が多い人です。その場合、夫婦で分けるとお得です。
この適用を受けるためには、初年度に確定申告が必要なのでお忘れなく。
その他の主な税金
住宅ローンを借りると、初年度に不動産取得税、それから毎年固定資産税が必要です。
それぞれ、物件の価値によりますので、よく確認しておきましょう。
2.借入名義人の4パターン
住宅ローンを誰が借りるかによって、
- 誰が組むのか(借入名義は誰か)
- 金利をどうするか(変動や固定)
- 諸費用はどのくらいかかるか
に違いが出てくることをご紹介しました。
では、誰がローンを借りるかについての4パターンをご説明します。
借入人のパターン
- 単独で組む
- ペアローン
- 連帯保証
- 連帯債務
2.1単独で組む

夫一人で組むようなパターンです。
この場合、妻がいても、いくら収入があっても、銀行はそれは考慮しません。
よって夫婦で組む場合よりも、借りれる額に制限がある点はデメリットと言えます。
妻のためにも団信はつけておいてもいいでしょう。夫がなくなるとローンは全額ゼロで、家が丸々妻に残ります。(仮に妻が亡くなっても、ローン額がなくなるなどの影響はなしです。あくまで夫の生死のみ)
また借入人が夫だけですから、住宅ローン控除も夫のみです。
契約上の登場人物が夫だけなので、金融機関から見ると妻は無関係です。これにより、例えば離婚などの際は面倒な手続きがないというメリットがあります。
2.2ペアローン

ローン金額をに分割して、夫と妻のそれぞれが債務者になるパターンです。
お互いに連帯保証人になります。これは、「片方が払えなくなったら、私が代わりに払いますね」と金融機関に約束すること。
それぞれが借入人になりますので、それぞれが借りた額をそれぞれが返済します。
メリットは、夫婦合算なので、ローン金額の承認がおりやすく、二人合計で高額の借入も可能です。
夫婦の金額の割合は、夫婦で話し合って自由に決められます。ただし、偏りが大きい場合や、夫と妻の収入の大きさが違う場合は、銀行がある程度指定してきます。
また、夫婦それぞれ団信をつけることが可能です。両方に団信をつけた場合、夫が亡くなっても、妻がなくなっても、その亡くなった方の借入金額だけはゼロになります。
住宅ローン控除についても、それぞれ負担している借入金額に応じて還付を受けられます。
ペアローンにもデメリットがあります。
最大のデメリットは、契約が2本なので、手続きに関する費用が一部ダブルでかかってしまうこと。
例えば、金融の契約書には印紙を貼る必要があるのですが、(金銭消費貸借契約書には印紙税がかかる)2万円などもする印紙代が2倍必要です。
ダメージが大きいのが融資事務手数料。
これは銀行から融資を受ける際に銀行に払う手数料です。
「ローン金額の2%」のような「率」であれば、2本に分けても問題ありませんが、「32万円」と固定金額で出している楽天銀行などは、これがダブルで必要だったりします。
そのほかにも、登記費用など、ちょこちょこダブルで必要な諸費用がかさむのが痛いポイントです。
費用以外のデメリットは離婚したときに面倒です。
また妻が仕事を辞めて収入がなくなった時は、妻の収入をあてにしてローン額を大きくしてしまっていると資金繰りに窮するでしょう。
2.3連帯保証

このタイプは、あくまで夫がローン契約をしますので、夫のみが債務者です。妻は、この夫の債務の連帯保証人になります。
連帯債務とは、「夫が返せない場合は、私が代わりに払います」と金融機関に約束することだと考えればOKです。
このケースでは、銀行の審査では、夫の収入に加えて、妻の収入も合算で見てもらえます。よって審査には通りやすくなります。
ただし住宅ローン控除も団信も、債務者である夫のみしか適用がありません。
契約は1本なので、ペアローンのようにダブルで諸費用がかかることはなく、かかる諸費用額は「夫単独申し込み」と同じだと考えてください。
2.4連帯債務とは

主債務者として夫が住宅ローンを契約し、妻は連帯債務者になります。
債務者は二人いることになりますが、あくまで住宅ローン契約としては1本ですので、諸費用も抑えられます。
「一つの契約を二人で共同で結ぶ?」
この状態がしっくりこないかもしれませんが、一応夫婦間で金額を2分割するんです。
持分割合というものを登記の時(ローン実行の時)に決めます。夫2000万円、妻1000万円、という感じで分割します。
夫婦間で自由に決めましょう。
実際の返済をいくらずつにするかは、当然夫婦の間で自由に決めてOKで、フレキシブルにやればいいですが、登記上の配分額と、実際の返済の負担額があまりに乖離しているのはよろしくない場合があります。
例えば登記の時に半分半分にしたのに、妻が仕事を辞めて、途中から夫だけで払う場合。
こんな場合は、妻の返済を夫が肩代わりしている状態であり、夫⇒妻へお金が贈与されているとみられます。
本来であれば、こういったお金の流れは贈与税がかかりますのでご注意ください。
ちなみに、年110万円までの贈与であれば税金はかからないので、数万を夫婦間でやりくりする程度であれば合法的です。
またこういう税金関係は税務上の問題であり、銀行から見るとどうでもいいです。なので、ローン実行時に銀行から配分割合についてアドバイスを受けられるとは思わないほうがいいでしょう。
ペアローンとの違いは、ペアローンは銀行と夫婦が契約自体を2分割して結ぶのに対し、連帯債務は銀行から見れば夫婦でいくらずつ分担しているかはどうでもよく、「どちらかから返済してもらえばいいですよ」といった感じです。
団信に関してはやや特徴的です。
夫も妻も債務者なのですが、団信は夫だけしか認められないパターンと、夫婦両方につけられるパターンがあります。フラット35を利用するときのみ、夫婦両方に団信を付けられます。
メリットとして挙げられるのは、住宅ローン控除が夫婦両方に適用できること。この点で、前述の「連帯保証」のタイプに比べてメリットありです。
この住宅ローン控除額を計算するには、夫と妻がそれぞれいくらずつの持分なのかが重要でして、その割合は、最初に登記する持分割合によって決まってしまうため、慎重に決めましょう。
普通に考えれば、所得税を多く払っている=年収が高い方に、ローン金額をやや寄せて配分がいいでしょう。
最大のデメリットが、扱っている金融機関が少ないこと。
メジャーな金融機関を上げますと、三井住友銀行、京都銀行あたりです。
3.まとめ
いかがでしたか。
今回は住宅ローンを選ぶ3つのポイントのうち、
住宅ローン選びのポイント
- 誰がローンを組むのか(借入名義は誰か)
- 金利をどう選ぶか(変動や固定)
- 諸費用はどのくらいかかるか
このうち、最初の「誰がローンを組むのか」を解説しました。
続いては2番目の「金利の話」です。
住宅ローンで一番気になるのは、やはり金利。変動金利や固定金利など、どう金利を選べばいいのかを解説します。
以下よりご覧ください。
終わり